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[観る将が行く]将棋熱半端ない「中の人」、静から動の一瞬狙うカメラマン - 読売新聞

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 竜王戦七番勝負の大盤解説会でちょっと驚かされたのが、若い女性の多さだ。「()る将」が増えているとは知っていたが、自分が子どもの頃、将棋と言えば、「おじさんの趣味」というイメージだったので、その変わりようには隔世の感がある。

 楽しみ方も多様化している。

 特に、若い世代から人気が高いのが、「読売竜王戦」(@yomiuri_ryuo)を中心としたツイッターによる発信。読売新聞オンラインが毎局、開催している「封じ手クイズ」のメッセージ欄には、SNSで発信される写真や動画が楽しみという意見が多く寄せられている。

 棋譜を見つめ、達人の技や思考を楽しむ有段者もいれば、真剣勝負に挑む棋士の表情や人間ドラマに心震わせる観る将もいる。

 最近はスポーツ雑誌「Number」が将棋を特集するなど、頭を使う「マインドスポーツ」という言葉も広まりつつある。豊島将之竜王、羽生善治九段それぞれのファンから寄せられる熱いコメントを読むと、その楽しみ方は、華やかなプロスポーツ界のそれと近い感じがする。

 そんな進化する将棋ファンの期待に応えようと奮闘しているのが、読売新聞で事務方を務めるMくんと、写真部のカメラマンWくんだ。ともに30代前半で、読売新聞では若手の部類に入る。

 このコラムでもこれまで何度か登場したMくんは、ツイッター「読売竜王戦」の運営を担当する、いわゆる「中の人」だ。

 つぶやきをご覧いただいた方はおわかりと思うが、このMくん、とにかく将棋愛が半端ない。

 昨季、竜王戦の担当になる前は、将棋とは全く無縁(経済部で製薬会社や化粧品メーカーなどの取材をしていた!)だったが、七番勝負の運営を通じて「どハマリ」したとのこと。自身でも駒と盤を買って定跡本を読みあさり、たった1年半で初段になってしまった。

 この間、人気オンライン将棋ゲーム「将棋ウォーズ」で指した将棋は約7600局! 本人は「持ち時間が短い対局でやっていますから」と話すものの、1日平均約15局計算となる。本人(いわ)く、仕事中以外のプライベートはほぼ将棋を指していたらしいが、その熱中ぶりは半端ない。

 そんなMくんに、「『観る将が行く』でMくんを取り上げたいんだけど」と話すと、予想通り熱い言葉がかえってきた。

 「やっぱり、盤上だけではない対局の面白さを伝えたいですね。最近は、棋風にとどまらず、棋士それぞれの個性にひかれる将棋ファンも多いですし、将棋めしとか控室の雰囲気とか、あと、両対局者が入場する時なんかは……(長くなるので省略)」

 対局中、3台のリモートカメラを駆使して両対局者の表情を追うのが、カメラマン歴10年のWくんだ。シャッターチャンスをひたすら待つのが仕事とは言え、一瞬の表情やしぐさを逃すまいと、対局中はカメラを遠隔操作するタブレットの前で、じっとその瞬間を待ち続けている。

 Wくんによると、リモートカメラは、あらかじめ決めた画角で撮ったものからトリミングで切り取って作品として完成させていくため、現場でカメラを構えるのとは、また違う難しさがあるのだそうだ。「感覚的には2回、写真を撮っている感じ」という。

 実はこのWくん。最近、“羽生”さんとは何かと縁がある。昨季は、2014年ソチ、18年平昌(ピョンチャン)の両冬季五輪金メダリストの羽生結弦選手に密着。この夏には読売新聞オンラインで、彼の撮影した作品をもとにオンライン写真展「羽生結弦展2019―20」が開かれ、大成功を収めている。

 今回の竜王戦写真特集も大きな反響を呼んでいる。“羽生”さんを撮らせたら、すごい才能を発揮するのかも。そう思い、Wくんに聞いてみた。

 「フィギュアの羽生選手と将棋の羽生九段。カメラマンとして、それぞれどんな点を狙っているの?」

 返ってきたのは、こんな答えだ。

 「羽生選手を撮るのは、『動』のなかから、一番美しい『静』を切り取るおもしろさがあって、羽生九段を撮るには、座った状態の『静』から、頭の中、思考、表情の『動』を切り取るおもしろさがあるんじゃないかなと思っています」

 なるほど。動画では絶対に気づくことがない、一瞬を切り取る写真だからこそできる挑戦だ。

【Wカメラマン撮影 デジタルストーリー】
写真で振り返る竜王戦第1局
竜王戦第2局、盤上の熱き戦い
フィギュア四大陸2020ハイライト

 そういえば、事務方のMくんはツイッターについて、こんなことも言っていた。

 「将棋ファンのみなさんの知りたい、見たいという気持ちに僕は答えたい。事務方が運営するSNSだからこそできることってあると思うんです」

 うん。確かに。「自分たちだから伝えられる竜王戦七番勝負」って、きっとある。

 若い「観る将」の皆さんからすれば、新聞と言えば、おじさんが読むもの、というイメージがあるかもしれない。だが、実は新聞も将棋の世界と同じ。MくんやWくんのようなエッジが利いた若手の活躍で少しずつ変わり、新しい伝え方もどんどん加わっている。(藤)

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