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アングル:「陰の極」に至らぬポジション、株安・円高に進行余地 - ロイター (Reuters Japan)

アングル:「陰の極」に至らぬポジション、株安・円高に進行余地 - ロイター (Reuters Japan)

[東京 26日 ロイター] - 再びリスクオフに大きく傾いた市場だが、投資家のポジションは「陰の極」とは言えない状態で、株安・円高が一段と進む可能性が残っている。市場のセンチメント転換にはサプライズ的な政策も必要となるが、政治的な協調ムードが弱まるなか、その余地は限られている。

 8月26日、再びリスクオフに大きく傾いた市場だが、投資家のポジションは「陰の極」とは言えない状態で、株安・円高が一段と進む可能性が残っている。写真は株価を映し出す証券会社前の掲示板。8月6日、東京で撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

<ヘッジファンドの一部はまだロング>

企業の解散価値でもあるPBR(株価純資産倍率)1倍水準は足元で日経平均で2万0140円程度と推計されている。26日には一時2万0173円76銭を付け、そこに迫ったが、これを割り込むことはなかった。昨年12月の株急落局面でも、PBR1倍水準を割った後に、反発に転じていることから、今回も「底を打った」との期待がある。

しかし、投資家のポジションを見る限り、「陰の極」にはまだ至っていない。野村証券のクロスアセット・ストラテジスト、高田将成氏の推計では、マクロ系ヘッジファンド(HF)などファンダメンタルズ重視の投資家はまだロングポジションを有している。このロングが解消される過程で、株価はさらに下押しする可能性があるという。

「マクロ系HFなどがロングポジションを積み上げさせていたのは、米マクロ指標の上振れなどを理由とした景気への信頼感だ。今後、マクロ指標が悪化し景気後退リスクが高まれば、同じくまだロングを有しているCTA(商品顧問業者)などトレンド対追随型のHFの売りを巻き込んで一段の株安となる可能性がある」と高田氏は指摘する。

海外投資家は、今年に入って日本株を累計で約3兆円売り越しているが、内訳は現物株の約2兆5000億円に対し、先物は約5000億円。先物の売り余地はまだ大きいようにみえる。昨年10月から12月の3カ月間では、海外投資家は先物を約4兆8000億円売り越している。

ショートが溜まれば、買い戻しのリバウンドが期待できる。だが、ショートはまだ小幅で、ロングが残っているヘッジファンドもいるとすれば、「陰の極」はもう少し先になる可能性がある。

<円ロングは5万枚ピークまで距離>

ドル/円は26日に一時、104円46銭まで下落した。水準としては今年1月3日の「フラッシュ・クラッシュ」以来だが、それを異常値としてみるならば、2016年11月9日以来、約3年ぶりの円高水準となる。

4月24日の年初来高値112円40銭から、約7%下落し、105円の節目を割り込んだことで、突っ込み警戒感も高まっている。しかし、投機筋のポジションからは、歴史的にみて、まだ売り余地が残っていることが示されている。

米商品先物取引委員会(CFTC)が23日に発表したデータを基にロイターが算出したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(8月20日までの週)によると、非商業(投機)部門のドル/円の取組1097741NNETは3万1154枚の円ロングとなった。前週比6412枚の増加となっている。

同ポジションについては「経験則的に5万枚を超えると、円安に転じる傾向がある」(外資系証券)との指摘が多い。だが、前週の時点ではまだ2万枚近く余地がある。溜まった円ショートが巻き戻される円高リスクはなくなったが、徐々に円ロングが膨らむ、じわりとした円高リスクが高まっている。

バークレイズ証券のシニア為替・債券ストラテジスト、門田真一郎氏は、IMM通貨先物は利用者が偏っている可能性があるとしながらも、ドル/円は105─110円から100─105円のレンジにシフトした可能性があると指摘する。

「投資家のマネー逃避先は、昨年はドルだったが、米金利が低下するにつれ魅力を失い、今年は円に変わった。市場のリスク回避が強まれば消去法的に円が買われそうだ」と門田氏はみる。

<高まりにくい政策期待>

こうしたポジションから見る限り、「陰の極」はもう少し先のようだ。しかし、市場のセンチメントを転換させる政策余地は限られている。

米国や欧州では国内の政治対立が激しくなっており、財政出動の決定は容易ではない。緊急利下げなど金融政策でサプライズを起こすことも可能だが、金融緩和による景気刺激効果も疑問視されている。政策余地も大きいわけではない。

さらに国際的にも対立色が強くなっており、政策協調のハードルも高い。フランスのビアリッツで開かれている主要7カ国(G7)首脳会議では、米中貿易摩擦の激化や、イラン、北朝鮮の核開発問題、ロシアのG7復帰の是非について意見の相違が表面化。史上初めて「首脳宣言」が採択されない見通しだ。

トランプ大統領は日本時間26日夕、中国とまもなく協議を開始し、合意すると考えていると発言した。だが、こうした発言はこれまでも何度もあった。マーケットはリバウンドしているが、「疑心暗鬼」が拭えぬなか戻りは鈍い。

(編集:石田仁志)

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2019-08-26 14:54:00Z
https://jp.reuters.com/article/japan-economy-boj-idJPKCN1VG1L2

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