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寒冷地のコロナ感染が増加傾向 冬に備え「積極的な換気、一定の湿度を」 - SankeiBiz

 寒冷地で新型コロナウイルスの新たな感染者が増加傾向にあり、北海道や宮城県ではこのところ、過去最多の感染者数を更新している。北海道東北地方知事会議は「寒冷対策で気密性の高い住宅が多く、感染防止のための換気が難しい」と地域の特性を指摘するが、本格的な冬を迎えるにあたって、その対策は全国的に起きることにも重なる。「ウィズコロナ」の冬を前にして、専門家は適切な換気の重要性などを再認識する必要性を指摘する。

 「寒いと部屋の中に閉じ籠もり、換気をしなくなるということも想定されるが、寒くても換気をしっかりとしてほしい。最近は水が冷たいが、手洗いもしっかりしなければいけない」

 田村憲久厚生労働相は先月30日の閣議後記者会見で、冬に向けて懸念される感染拡大を防ぐため、こう言及した。

 北海道では新規感染者が増加傾向にある。9月半ばから徐々に増え始め、10月23日に51人の感染が確認され、これまで最多だった4月23日の45人を超えた。繁華街ススキノの接待を伴う飲食店などでクラスター(感染者集団)が発生し、ほぼ連日最多を更新。10月31日には81人、11月2日は96人に及んだ。北海道は10月28日の段階で、独自に設定している5段階の警戒ステージについて、最も低い「1」から「2」へ引き上げた。

 冬になり、気温が下がると、必然的に室内での滞在時間が長くなり、密集や密閉といった感染リスクを高める状況も生じやすい。重症化しやすいとされる高齢者らにとっては、北海道で目立つ家庭内感染も懸念材料になる。

 風邪などの原因となるコロナウイルスは一般的に気温が低下すると、飛沫(ひまつ)感染で流行が拡大すると考えられている。

 東京医科大の濱田篤郎教授(渡航医学)は「欧州で感染が再拡大しているのも寒さが原因といわれている。北海道の感染者増も同様で、感染拡大地域が北日本から南下してくる恐れがある」と警戒感を示した。

 冬場の特徴は寒さと乾燥だが、濱田教授によると、気温の低下が人の行動に与える影響が大きい。濱田教授は「部屋を暖めて積極的に換気をするしかない。手洗いももちろん大切で、室内でもできる限りマスクを着用すべきだ」と指摘する。

 乾燥時はウイルスを含んだ細かな飛沫「エアロゾル」が飛びやすくなる。理化学研究所などはスーパーコンピューター「富岳」で、湿度と飛沫の飛散距離の関係を解析。マスクをせずにせきをした際、机を挟み1・8メートル離れて向かい合った人にどれだけ飛沫が届くかを調べたところ、湿度30%では、60~90%のときと比べ2倍以上の飛沫が到達することが分かった。

 また、エアロゾルは長時間にわたって空気中を漂う。このため、濱田教授は一定の湿度を保つことも有効だと説明、「加湿器は清掃などで適切に管理しなければ、別の病原体をまき散らす可能性があるため注意が必要だ。部屋干しなどでもよいだろう」と話した。

 鉄道では車両の窓を開ける換気対策が取られてきた。だが、寒気が車内に入り込まないよう乗客が窓を閉めてしまう可能性もある。JR東日本では、窓開けや車両上部の空調装置からの外気取り入れなどで2、3分で車内の空気が入れ替わるという。同社の担当者は「気象条件によっては、暖房効果が十分に得られない場合がある」とした上で、「換気の重要性は認識しており、基本的には今後も継続していく予定だ」と話している。

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November 04, 2020 at 03:55AM
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